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2026/10/2

廃掃法(はいそうほう)とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称で、「廃棄物処理法」と同じ法律を指します。
「許可を持った業者に委託しているから大丈夫」と思っていませんか?
産業廃棄物の処理では、業者に委託したからといって排出事業者の責任がなくなるわけではありません。法の全体像を理解しないまま運用していると、契約書の記載漏れや許可範囲の確認不足など、思わぬ法令違反につながるおそれがあります。
本記事では、廃掃法の基本から、事業者が守るべき義務、違反した場合の罰則、実務で見落としやすいポイント、直近の改正動向までを整理して解説します。法律の背景から実務上の落とし穴までを丁寧に整理しているため、基礎知識の習得と実務への応用が可能です。廃棄物管理の担当者として、必要な情報を正しく理解し、適切に対応できるようにしましょう。
廃掃法とは、1970年(昭和45年)に制定された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称です。「廃棄物処理法」「廃処法」とも呼ばれますが、いずれも同じ法律を指します。
廃掃法は、廃棄物の排出を抑制するとともに、分別・保管・収集・運搬・再生・処分などを適正に行うための法律です。廃棄物による生活環境への影響を防ぎ、公衆衛生を向上させることを目的としています(第1条)。
実際の運用では、廃棄物処理法だけでなく、「施行令」「施行規則」や自治体の条例・要綱なども関係します。詳しい条文の全体像は、廃棄物処理法の基礎をご覧ください。
区分 | 概要 | 代表例 | 処理責任 |
|---|---|---|---|
産業廃棄物 | 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類 | 燃え殻、汚泥、廃油、廃プラスチック類、金属くずなど | 排出事業者 |
一般廃棄物 | 産業廃棄物以外の廃棄物 | 家庭ごみ、事業活動から出る紙くず・生ごみなどの事業系一般廃棄物 | 市町村 |
どちらに該当するかで、処理責任を負う主体(産業廃棄物=排出事業者、一般廃棄物=市町村)も、委託できる業者の許可の種類も変わります。
分類を誤ると無許可業者への委託とみなされるおそれがありますので注意が必要です。詳しくは産業廃棄物と一般廃棄物の違い、産業廃棄物とはをご覧ください。
廃棄物処理を業者に委託すれば、責任はなくなる?
産業廃棄物の処理責任は、それを排出した事業者にあります(第3条・第11条)。
「許可業者に委託しているから安心」とは限りません。
許可業者に委託しても責任は移らず、最終処分が終了するまで、委託先が適正に処理しているかを確認する努力義務(第12条第7項)を負います。委託先が不法投棄などを行った場合、委託基準に違反していれば排出事業者も措置命令や罰則の対象になり得ます。
「業者に頼んだから終わり」ではない。これが廃掃法を理解するうえで、最も重要なポイントの一つです。

高度経済成長期の日本では、公害や不法投棄が社会問題となり、生活環境が著しく損なわれていました。そうした背景の中で制定されたのが廃掃法です。
高度経済成長が進んだ1960年代から1970年代にかけて、日本では産業の発展とともに深刻な環境汚染が社会問題となりました。工場から排出される有害な廃水や排ガス、廃棄物が各地で健康被害を引き起こし、水俣病やイタイイタイ病などの公害が相次ぎました。当時の清掃法は市街地の汚物処理に重点を置いており、急増する産業廃棄物には対応できていなかったのです。
この状況を受けて、昭和42年に公害対策基本法が、昭和43年には大気汚染防止法などが次々と整備され、昭和45年には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」が成立しました。
廃掃法では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分け、処理責任の所在を市町村や事業者に明確化しました。産業廃棄物の処理には基準を設け、都道府県の許可を受けた業者による処理を義務づけています。
1970年に制定された廃掃法では廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に明確に分類し、それぞれに処理責任を割り当てました。特に産業廃棄物に関しては、事業者自らが適正に処理するか、許可を受けた業者に委託する仕組みを整備しています。この制度設計により、処理責任の所在が明確になり、管理体制の強化が図られたのです。
さらに、平成17年の法改正では、不適正処理を防ぐための罰則強化や、マニフェスト制度の厳格化、再委託の条件整備など、運用面でも重要な見直しが行われました。これらの改正は、実務に即した透明性の高い制度へと進化させる契機となりました。
廃掃法は、時代とともに柔軟に改正を重ねながら、循環型社会の実現に向けた重要な役割を果たし続けています。
廃掃法は単なる法的義務ではなく、私たちの暮らしと未来を守るための仕組みです。しかし、目的を正しく理解していないと、適正処理が後手に回り、環境や健康へ深刻なリスクを招きかねません。
廃棄物処理法の目的は、廃棄物を適正に処理することにより、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることにあります。
清掃法が市街地の衛生維持を主眼としていたのに対し、廃掃法では公害対策を含む広範な環境保全を重視するようになりました。
廃掃法では、廃棄物の適正処理に関する責任の所在を明確にしています。
特に事業者には、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で処理する義務が課せられています。たとえ外部の処理業者へ委託した場合であっても、最終処分が終了するまでの一連の過程に対し、排出事業者としての責任は免れません。
現代社会は「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提とする経済構造のもと、環境や資源への負荷が限界に近づいています。この課題に対応するために求められているのが、「循環型社会」の実現です。
廃掃法は、その基盤として欠かせない法制度であり、リサイクルの促進や適正処理によって、限りある資源を持続的に活用するための枠組みを整えています。

事業者が排出した産業廃棄物は、家庭ごみのように自治体へ処理を任せることはできません。廃掃法では、事業者が自らの責任で適正に処理する義務を負っており、これが「排出事業者責任」です。処理を委託する場合も、契約やマニフェスト制度を通じて適正処理を確認する必要があります。
では、排出事業者は実際に何を確認すればよいのでしょうか。
具体的に守るべきルールは、次の4つに整理できます。
処理基準・保管基準の遵守
委託契約の締結とマニフェストの交付・管理
多量排出事業者の計画提出・報告義務
特別管理産業廃棄物の区別と取扱い
それぞれを以下で確認していきましょう。
自ら産業廃棄物を運搬・保管する際には、厳格な処理・保管基準に従わなければなりません。特に特別管理産業廃棄物については、より高度な基準が適用されます。一定規模以上の保管を事業場外で行う場合には、都道府県への届け出も求められます。法令順守は事業継続の信頼を左右する要素です。
保管基準では、周囲の囲い、縦横60cm以上の掲示板(廃棄物の種類・管理者名・連絡先などを表示)、飛散・流出・地下浸透・悪臭の防止措置などが定められています。掲示板の不備は立入検査で最も指摘されやすい項目の一つです。
処理を委託する場合は、収集運搬業者・処分業者それぞれと事前に書面で委託契約を結び(委託基準)、引き渡すたびにマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付して、運搬・処分・最終処分の完了までを確認・管理します。
契約書の法定記載事項と書き方は、産業廃棄物処理委託契約書とは?、電子マニフェストの仕組みは電子マニフェストとはをご覧ください。
前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上(特別管理産業廃棄物は50トン以上)の事業場を設置している事業者は「多量排出事業者」として、産業廃棄物処理計画を毎年6月30日までに都道府県知事に提出し、翌年度に実施状況を報告する義務があります(第12条第9項・第10項)。
発生量は事業場ごとに数えるのが原則ですが、複数の建設現場がある場合などは自治体によって扱いが異なります。一時的な増産で基準を超えると翌年度から対象になるため、前年度実績の把握が欠かせません。
爆発性・毒性・感染性など人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのあるものは「特別管理産業廃棄物(特管産廃)」に区分され、通常より厳しい処理・保管・委託基準が適用されます。代表例は引火点70℃未満の廃油、pH2.0以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリ、感染性廃棄物、廃石綿等です。
見落とされやすいのは、通常は普通産廃として扱う機械油に、洗浄工程で溶剤や灯油が混入して引火点が下がり、特管産廃に該当するケースです。契約書上の品目が「廃油」のままでも、委託先には特別管理産業廃棄物の許可が必要になります。廃油の区分は廃油は産業廃棄物に該当する?で解説しています。
参考:廃棄物処理法の基礎を紹介!適正処理とコンプライアンス対応のポイント
廃掃法の罰則は環境関連の法律の中でも特に重く、行為者個人だけでなく法人にも罰金が科される「両罰規定」があります。
違反行為 | 罰則(行為者) | 法人への罰金 |
|---|---|---|
不法投棄 | 5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科(第25条) | 3億円以下 |
無許可営業 | 同上(第25条) | 3億円以下 |
無許可業者への委託 | 同上(第25条) | 1,000万円以下 |
措置命令違反 | 同上(第25条) | 1,000万円以下 |
委託基準違反(契約書の未締結・記載不備など) | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科(第26条) | 300万円以下 |
マニフェストの交付義務違反・虚偽記載・未保存 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第27条の2) | 100万円以下 |
※2025年6月1日から、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。
刑事罰には公訴時効(不法投棄・無許可営業は5年)がありますが、行政の措置命令や改善命令は違反状態が続く限り出されるため、「時効だから安全」とは考えないでください。
実際の違反の多くは、故意の不法投棄よりも「契約書の記載漏れ」「許可範囲外の委託」といった手続き上の不備から生じています。行政のチェックに備えるなら産業廃棄物監査とは?もあわせてお読みください。
廃掃法違反は「悪意のある行為」だけではありません。
不法投棄のような重大な違反をイメージするかもしれませんが、実務では、契約書の記載漏れや許可範囲の確認不足、マニフェストの管理漏れなど、日常業務の小さな見落としが問題につながることがあります。
「いつも同じ業者だから大丈夫」
「契約書は以前から変えていない」
「マニフェストは業者に任せている」
こうした「委託先任せ」の運用が、知らないうちに法令上の問題につながる可能性があります。
廃掃法の運用で注意すべき代表的な落とし穴が、「有価物」と「廃棄物」の判断です。形や用途が似ていても、再利用できるかどうか、経済的な合理性があるかどうかによって、法的な取り扱いが大きく変わります。
売却代金が輸送費を上回れば有価物、下回れば廃棄物と見なされる可能性があるため、取引全体のコスト構造を明確にした上で判断する必要があります。安易に「有価物」として取り扱ってしまうと法令違反になってしまう可能性があります。あくまで基礎自治体の判断に委ねられるため、慎重に取引をすることが大切です。
また、処理を委託したからといって責任が消えるわけではありません。廃掃法では、処理の最終段階まで排出事業者が責任を持つことが義務付けられており、委託先が不法投棄などを行った場合でも、排出元が行政処分や刑事罰の対象になることがあります。契約書の作成や、許可業者であることの確認は最低限必要です。
実務で多いのは、次のような「委託先任せ」による違反です。
例えば、元請企業が撤去廃棄物の処理を下請業者に任せたところ、下請業者が無断で別の処分業者に持ち込んでいたケースです。これは再委託にあたり、下請業者が収集運搬の許可しか持っていない場合などには、適切な処理委託の手続きが必要になります。
また、マニフェストの返送票(B2・D・E票)が期限内に返送されているかを確認していないケースもあります。返送期限を過ぎても必要な票が届かない場合は、排出事業者が状況を確認し、必要に応じて措置内容等報告書を提出することが必要です。
さらに、「廃プラスチック類」と「金属くず」をまとめて処理委託したものの、委託先が金属くずの許可しか持っていなかったケースにも注意しましょう。廃棄物の種類ごとに、委託先が必要な許可を取得しているかを確認しなければなりません。
いずれも、契約書・許可証・マニフェストを定期的に突き合わせる仕組みがあれば防げるものです。
加えて、廃掃法は改正や通知が繰り返されているため、最新の情報を常に確認する姿勢も重要です。自治体や環境省が公開しているガイドラインやチェックリストを活用し、誤認や手続き漏れを防ぐよう努めましょう。
見過ごされがちな判断ミスが、大きな法令違反につながるリスクがあることを常に意識することが、適正処理の第一歩です。
施行時期 | 主な改正内容 |
|---|---|
2018年4月 | 雑品スクラップ(有害使用済機器)の保管・処分業者に届出制度と保管基準を導入。あわせて、マニフェストの虚偽記載などに対する罰則を強化 |
2020年4月 | 前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上の事業場について、電子マニフェストの使用を義務化 |
2026年1月1日 | 施行規則の改正により、委託契約書の法定記載事項に「第一種指定化学物質(PRTR対象物質)の含有情報」を追加。既存の契約書についても、更新時に反映が必要 |
2027年4月(予定) | 電子マニフェストの報告項目を細分化し、処分方法や処分量、再生利用の状況などを報告対象に追加。主に処分業者側の入力項目が増えるもので、電子マニフェストの使用義務対象が広がるものではない |
※本記事の改正情報は2026年10月時点の情報です。今後、制度や施行時期が変更される可能性があります。
2027年の改正で処理フローが可視化されると、排出事業者には「自社の廃棄物がどこで、どれだけ再資源化・最終処分されたか」の確認がこれまで以上に求められます。一方で、リサイクル率などのデータをサステナビリティレポートの根拠資料として活用しやすくなります。詳細は電子マニフェストの法改正で解説していますので、あわせてご覧ください。

廃掃法に関する業務では、制度の理解不足や運用ミスが思わぬトラブルにつながることがあります。
廃掃法と廃棄物処理法は何が違いますか?
産廃の「3日ルール」とは何ですか?
「中間処理」を行う業者に委託した場合、排出事業者として最終処分まで責任を負う必要がありますか?
廃棄物の性状が一時的に変化した場合(例:脱水処理後など)、契約内容を変更する必要はありますか?
A.違いはありません。どちらも「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称で、同じ法律を指します。行政文書や条文の引用では「廃棄物処理法」、実務の会話では「廃掃法」と呼ばれることが多い、という程度の差です。
A.電子マニフェストでは、廃棄物を引き渡した日から3日以内(土日祝日を除く)にJWNETへ登録する必要があり、この期限を「3日ルール」と呼びます。登録を忘れると管理票交付義務違反にあたるため、引き渡し日に登録する運用を習慣化することが大切です。
A.排出事業者は中間処理業者に委託した場合でも、最終処分が完了するまで責任を負う必要があります。廃棄物処理法では、排出事業者が処理の一連の流れを適正に管理する義務があると定められており、委託先の不適切な処理があった場合でも責任を免れることはできません。
A.廃棄物の性状が一時的に変化した場合でも、契約内容の見直しが必要です。脱水処理などにより物理的な性状が変わると、処理方法や許可範囲に影響を与える可能性があります。実際の廃棄物と契約内容が一致しない場合、委託基準違反に該当するおそれがあるため、変更手続きを行うことが重要です。
廃掃法の運用や改正対応に不安を感じている事業者の方は、ぜひスマートパートナーまでご相談ください。委託契約の見直しやマニフェスト管理、適正処理のチェック体制など、実務に直結する課題は多岐にわたります。
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